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「最新・公式」の配当金情報はいつ、どこで決定し、発表されるのか

 

こんにちは。

配当サラリーマンの“いけやん”です。

 

この記事では、

「最新・公式」の配当金情報はいつ、どこで決定し、発表されるのか

について、紹介します。

 

先日、ブログの読者の方から、次のようなご質問をいただきました。

いけやんさん
こんにちは
3月以降何度もブログを拝見させて頂いております。

~~~~(中略)~~~~

業種別の配当率が特に見やすかったです。

ところで今日拝見したところ化学業種で旭化成など配当率が0%のものが散見されましたがこれはなにかのまちがいでしょうか?

 

ご質問いただき、ありがとうございました。

青字のところでお尋ねいただいたとおり、ご質問いただいた2020年5月25日時点で、[3407]旭化成は、配当0円、配当利回り(※)0%と紹介しています。

(※ご質問中では、「配当率」と記載)

 

ご質問にお答えいたします。

 

旭化成の配当は、

 

 

でしたが、

2020年5月12日発表の「2020年3月期 決算短信」において、

 

 

とすることが発表されています。

※正確には「0円」が確定したわけではなく、「いくらにするか宣言しません」という状態です。今後、いく分かの配当を再発表する可能性もありますし、無配の確定発表が出る可能性もあります。少なくとも、発表できない時点で先行きが明るくないことは分かります。

本ブログでは、この状態を便宜上「0円」と書かせていただきました。

(ちなみに、2021年度の「配当」だけでなく、売上や利益といった「業績」についても同じく未定とされています。)

 

これは、いわゆる新型コロナの影響だと推測されます。

企業側の気持ちを代弁すると、

コロナのせいで業績の先行きが見通せないから、今の時点で配当を宣言するのは先送りさせてください。ほんと、、すいません!

ということですね。

 

 

 

いただいたご質問から派生する、配当金に関する周辺のことがらについて理解を深めていただけるよう、解説させていただきます。

 

まさか、いけやんブログでは、ありません。本ブログはあくまで2次情報を紹介しているすぎません。本来の決定・周知フローをしっかり理解することは投資家として大事かと思います。

会社はだれのもの?

本題に入る前に、株主と会社の関係をみていきたいので、

会社はだれのものか?

について、考えてみます。

 

小規模事業者の場合は、

経営者自身が「会社を所有している」ケースが多いです。

 

一方で、上場した株式会社の場合、会社は「株主のもの」となります。

 

株主は、会社の一部をもつことにより、出資の対価として、

を得られます。

 

(その一方で株主は、株価下落や、倒産時の株式価値毀損リスクなどを負います。)

 

「上場」とは、企業側から見れば、

  • 一般市場でだれでもその会社の株を買うことができ、(=所有することができ、)
  • 創業者とは関係もない第三者に経営方針に口を出され、
  • 場合によっては買収される

といったリスクを背負う見返りとして、

  • 出資による資金提供を受け、事業拡大に供する

というメリットを得る行為である、といえます。

 

英語では、

上場(株式公開)は、“Go public”

上場廃止(株式非公開)、“Go private” 

と言います。

日本ではどちらかというと、上場が良いイメージ、廃止は悪いイメージ、という印象がつけられています。

しかし、本来はの意味合いは、内輪で経営しているか、公の企業として経営しているか、の違いにすぎず、「上場=立派」というイメージは正しくありません。

(公開と非公開、それぞれにメリット・デメリットがある事柄です。)

 

「株主」から経営を任されて、会社を取り仕切るのが「取締役」

会社の所有者(オーナー)は、株をもつそれぞれの「株主」ですが、実際の経営をみんなで分担して行うわけではありません。

 

そこで、実際にその会社の経営を取り締まる者が必要になり、これが「取締役」です。

 

非上場企業(プライベート経営)であれば、会社の所有者である、創業者(や一族の方)が好きなように経営して問題ありません。

 

しかし、世の中から出資を得て企業活動する「上場企業」の取締役は、あくまで株主から「経営を任せされている」立場です。

 

このため、会社の経営にかかわる重要な事項は、株主さまの承認を得て、決議される必要があります。

 

この重要事項を決定する、会社としての最高意思決定機関が「株主総会」です。

株主総会で決議する「重要事項」

株主総会で決議する必要のある「重要事項」とは、会社法で定められており、

例えば、

などがあります。

 

(いずれも、出資者として、取締役が好き放題しないよう監視する必要がある、重要な事柄ですね。)

配当金も「株主総会」で株主の承認を得て決定する

ここまできて、やっと本題となりますが、

配当金をいくらにするか?

についても、上記の株主総会に諮る必要のある事柄とされています。

※剰余金の配当(会社法454条1項)

株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

  1. 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
  2. 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
  3. 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日

「剰余」とは、

その年の「純利益」を「設備投資、人件費、役員報酬、内部留保・・・」など、会社経営に必要なモロモロのところに使って、

最後に余ったお金の一部を配当金として株主に還元させていただきます、という意味合いですね。

(厳密には、株主総会を経ずに配当を決められる場合もありますが、基本的に上記のとおりと考えて問題ないと思います。)

株主総会の実施時期

会社(取締役)は、いつまでに株主総会を開かなければいけないか?についてですが、

 

株主総会のうち、定時株主総会は、会社決算後3か月以内に開催することが決められています。(会社法124条2項)

 

日本の会社は、事業年度の区切りを年度末として、3月決算の会社が多いため、株主総会は5~6月に開催する企業が多くなります。

 

このため、先に出てきた旭化成のIRで2021年度の配当が(予想)となっているのは、株総決議を経た事柄ではないためだと思われます。(正式決定は株主総会です、という意味合い)

2020年度の配当は、すでに2019年5月ごろ(?)の定時株総で決定しているため、簡単に変更できません。

コロナで業績が悪化しても、2020年度3月決算の配当が維持されたのはこのためで、次から減配・無配・配当未定が増えることが想定されます。

 

決定事項は、企業HPのIR情報で周知される

株主総会で決定した「配当の支払い情報」(支払日と金額)は、企業のHPで周知されます。

 

企業HPのトップページから、投資家情報(またはIR)などのページを探しましょう。

 

(こうしたページの場所が非常に分かりくい企業もあります。この時点で企業の株主意識が欠如していることを示唆しています。)

 

実際に見ていきましょう

例として、日産自動車のHPにいくと、ページの下の方に、「投資家の皆さまへ」というメニューを見つけることができます。(やや見つけにくい)

 

配当推移の紹介ページはないこともある

投資家向けのページにいくと、配当推移がグラフなどで美しく示されている企業もありますが、ない場合もあります

 

(日産は、昔は配当を紹介するページがあった気がしますが、「ゴーン事件⇒無配転落」以降なくなりましたね。この記事を書いている今、気が付きました。。。)

 

配当情報は、統一ルール・フォーマットで周知されるべき

このようなページは、企業側が任意で作るものですから、本来、投資家としてアテにすることはできません。

配当情報という、投資家として超・重要な情報は、

です。(この感覚、大事です。)

 

決算短信に配当情報が書かれている

というわけで、全ての上場企業が配当情報を含めた、決算の情報を開示する統一ルールがあり、それが決算短信です。

(厳密には、決算短信・四半期短信決算

より詳しい、似た報告書として、有価証券報告書・四半期報告書がありますが、こちらが法律(金融商品取引法)に基づく提出義務があるのに対し、

決算短信はそれより、やや簡略したもので、開示根拠は法令ではなく、証券取引所の自主ルールに基づくものです。

決算短信はどこで見れる?

企業HPの投資家情報のうち、「IRライブラリー」・「IR資料一覧」などを探すと見つけることができます。

決算短信の提出時期

四半期決算短信は、四半期ごとの決算から30日以内の提出が「望ましい」とされています。

決算短信の書式(フォーマット)

先に述べたように、配当情報は企業ごとでバラバラの書き方だと、見づらいだけでなく、極端な場合、縮尺のおかしなグラフでごまかしたりできるなど、投資家利益に反します

 

そこで、各証券取引所は、参考様式を示しており、これに基づいて各社は決算短信を作ることとされています。

 

これにより、どの企業もほぼ似た書面となることが担保されています。

決算短信に書かれた配当情報の見方

NTTドコモの決算短信を例に説明します。

に書かれています。

 

業績・配当の「未定」発表など、本来あってはならない

ここまで、

 

から始まり、

 

を順番に見てきました。

 

ここまでご理解いただけた方なら、

について、見方が変わるのでないかと思います。

 

コロナで業績が悪化すること自体は対外要因で、ある意味、仕方がないことかもしれません。

 

しかし、それでも、

 

 

こうした感覚を投資家側がもち、企業への切磋琢磨を促していくことが必要だと強く思います。

 

 

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(まとめ)村上氏の考え方を学び、米国株投資を始めよう

長々と書いてきましたが、こうした考え方を提唱されたのは、旧・村上ファンドの村上世彰氏です。

 

村上氏の考えが書かれた「生涯投資家」は、株式投資をする方なら、必ず一読しておきたい書です。

 

また、日本企業の株主還元意識は、投資先進国アメリカに比べて数十年おくれている、とも書かれており、いけやん自身、米国投資を始めるきっかけとなりました。

 

株式投資の中級の方は、

ことをおススメして、本記事のまとめといたします。

 

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お読みいただき、ありがとうございました!

 

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